「子ども避難・短期保養を」 被曝減へ小出・京大助教講演

朝日新聞 2013年06月25日]

 京大原子炉実験所の小出裕章助教原子力工学)が23日、東京電力福島第一原発事故から「30年後の未来」と題し、福島市内で講演した。「飲食さえ禁じられている放射線管理区域相当の汚染の広がり」を指摘した小出氏は、子どもたちの被曝(ひばく)を減らすために避難が望ましいとし、代替策として短期保養、校庭などの土のはぎ取りや給食素材の厳選の徹底などを求めた。

 市民放射能測定所(CRMS、県内外9カ所)の開設2周年企画。

 小出氏は国が公表している土壌汚染地図で管理区域相当の1平方メートルあたり4万ベクレル超の汚染地域が「県の東側から東北、関東の一部まで広がっている」と警告。第一原発の現状についても、4号機だけで1331体ある使用済み燃料集合体の取り出しの困難さなどを解説。「30年後も事故は収束していない。チェルノブイリのように石棺を作らざるを得ないだろう」と予測した。

 続く討論会では小児科医の山田真氏が「国は子どもの甲状腺がんだけに注目させ、他の健康被害を隠そうとしている。20〜30年後に備え、医療や生活支援の態勢を整えることが必要」と提案。先天異常の増加を危惧する黒部信一医師は「形態の異常以外は見つけにくい」と医学的診断の難しさも指摘した。 【本田雅和