NEWS LETTER№19 2016年夏休み保養プロジェクト報告

2016年7月22 〜 26 日、福島より10 家族35 名をむかえ、千葉県勝浦市にて10 回目となる保養を行いました。今回は、例年以上に、たくさんの方から物心両面のご支援をいただきました。事故から5年目をむかえ、深刻化を増す中、保養が希望であると感じます。みなさまに感謝を込めて報告にかえます。

ボランティアスタッフ
(参加者37 人)
1日目(7/22) 14 人 2日目(7/23) 24 人 3日目(7/24) 33 人 4日目(7/25) 17 人 5日目(7/26) 14 人
のべ102 人でした。ありがとうございました!

参加者からの声

保養プロジェクトは、参加される福島の家族のご意見をもとに、色々な議論や討論をつくってきました。10回と継続する大きな力となりました。今回、家族の方から多数感想が寄せられました。いまの福島の現状を知るためにも、ぜひ一読ください。


◎ 5日間、実家に帰ったようにゆっくり、ゆったりと過ごすことができました。おいしい安全な食事と子どもたちをやさしく見守ってくれるスタッフのみなさまに本当に感謝です。福島では安心・安全、食べて応援などの話ばかりで、うんざりします。
 セシウムしか計測していない食品は100ベクレル以下でも安全なのか? 100ベクレルは安全な数字なのか? 私はそうは思いません。でも福島では安全ということになっています。私はおかしいのか?? いろいろ周囲に言われて葛藤した日も、涙を流した日もありました。
 まだまだ安全とはほど遠い福島で、子育てするために保養は欠かせないものです。福島の子どもたちが健康で成長するためにどうかこれからも力をお貸しください。ご支援いただきましたみなさまに心から感謝しています。(Aさん)

◎ 震災から5年が過ぎ、復興ばかり税金が使われ原発事故(放射能)に対する気持ちばかりが風化しています。震災後に生まれた次男は自分の庭に出たことがなく、息子たち(小3、年中)の外遊びを制限させています。食物、水も県外産です。ただ周りの人たちは外遊びもしているし、食べて応援など、子どもたちはとまどいがあると思います。ただそんな中で、保養に出ることでのびのびと遊ぶことが出来るのです。
 今回、千葉保養に初めて参加させていただき、放射能を気にせずのびのびと自由に遊ばせることが出来ました。そんな姿を見て、私も肩の荷が降りたような安心した気持ちになりました。親子共々リフレッシュ出来ました。たくさんの方々にお世話になり、感謝でいっぱいです。今後もこの保養が続くことを願っています。ありがとうございました。
(Bさん)

◎ 全国的に様々な災害が多い中、時間が経ってもご支援いただける事にとっても感謝しております。今回、初めて参加させていただきましたが、娘も親の私も、心身ともにリフレッシュすることができました。
 途中、私が体調を崩してしまい、皆さまにご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。病院の方もとても優しく親切で、勝浦には初めて来たのですが、こちらの方はスタッフの皆さまをはじめ皆さん親切であたたかいのだなと思い、数日しか滞在していませんが、とても好きな町になりました。
 テレビでは福島のことはもう何もなかったかの様な扱いで、実際の日常のギャップに憤ることもあります。答えのない見えない問題と一生付き合っていかなければならない理不尽さに耐えられず、時々落ち込む事もあります。そういう時もご支援して下さる方がいる、保養で知り合って仲良くなった仲間がいる、と思うと、とても心強いです。また参加させていただきたいです。(Cさん)

◎ 福島では安心安全といわれていますが、不安で今でも洗濯物や布団を外に干せず、県外産の野菜や水
を購入し生活費を切りつめて保養に出る生活を続けています。
 もちろん自分達だけでは続けてはこれませんでした。支援してくださる方々のあたたかな気持ちに支
えられ応援していただき感謝という言葉では伝えきれない思いがあります。
 今回も色々準備していただき、ゆったり過ごすことができました。素敵な再会と楽しい5 日間でした。
皆さんの笑顔を思いうかべながら、もう少しがんばりたいと思います。(Dさん)

10 回目で気づかされる保養の大切さ
          〜 3.11から5年。これからも保養を続けたい〜

●新たに加わる仲間たちの参加に心うたれる
 記念すべき10回目の保養は、ボランティアスタッフをふくめ、参加者は70 名をこえ、過去最多となりました。経験豊富なスタッフに加え、地元外房の方々や若いスタッフをむかえました。
 保養の中で、福島の家族の方が、高熱を出し体調を崩されることなどはありましたが、参加者の団結した力で事なきをえました。
 交流会などでは、健康被害の拡大、地域や家族どうしの分断、教育現場で子どもたちが、草むしりをやらされる、弁当や飲み物の持参ができないなど、厳しい現状にあることが語られました。
 また、今年は熊本震災の影響もあり、保養の団体数が少なくなる一方、保養に出たい福島の家族が増加し、夏の保養は参加することが難しい現実なども多く語られました。家族や若いスタッフの方が、時折、涙する場面もあり、「福島原発事故は終わっていないな」と感じ、本当に大事なプロジェクトであると心を新たにしました。
 また、「実家のように迎えてくれる」という家族の方の感想にあるように、「おかえり」と言える暖かさが求められています。保養の意味が年々変化してきていることを再確認できました。

●たくさんのカンパによって支えられた保養

 いま東京オリンピックに向けて、福島では帰還強制の動きが強まっています。国は17 年3月に飯舘村をはじめする地域の避難指示を解除し、福島の避難者への住宅手当などの保障を打ち切ろうとしています。現在、行政などの補助金などで行われている保養も、もっと減少する可能性があります。私たちは、国の福島切り捨ての施策に対してあらためて「NO!」を突きつけましょう。保養の継続も一つの大きな行動です。

 わたしたちの保養プロジェクトは、すべてカンパによる資金で運営され、成り立っています。今回は、会員の方をはじめとする78人の方から振り込みや手渡しのカンパ、改憲反対などの大規模集会参加の方からの多数カンパをいただきました。寄せられたカンパの金額も過去最多となりました。ありがたいかぎりです。
さらなるご支援をお願いいたします。
(実行委員長・久木野和也)