2017年夏保養会報ーー一人ひとりがつながって大きな輪にーー 子どもたちを守りたい! 私たちの願い


 福島より8 家族23 名をむかえ、12回目となる夏休み保養プロジェクトが無事に終了しました。初夏の暑い夏休みでしたが、福島の家族は5日間を元気いっぱい過ごしました。勝浦市の民宿・神田のみなさんをはじめ、ご支援いただいたすべての方へ心からお礼を申し上げます。
 今後の保養の継続へ、なにとぞ物心両面の支援をお願いします。


■初めて参加しましたが、長い間、夏も冬も保養を続けて下さっていることに驚き、本当にありがたいことだなぁと感じています。事故当時1歳だった息子は7歳になりました。福島に心を寄せて下さっている皆様のおかげで、心も体もリフレッシュし、たくさんのことを経験させていただき感謝しています。
 ここ数年、保養が本当に少なくなり、続けてくださっているというだけで私にとっては“希望の光”です。福島で育てることを決めた時、子どもたちにしてあげられることはすべてすると決め、できるだけの保養と食べ物を気をつけることをやってきました。迷うことも悩むこともたくさんありますが、優しくして下さる皆様にあまえ、同じくがんばっている人たちの姿に力をもらい、また明日から福島でがんばりたいと思います。
(Aさん)

■今回、初参加でしたが、細かいところまで気をかけて下さり、こんなよくしていただいていいのかな?と思うくらいでした。子どもたちは毎日朝から寝るまで元気に楽しく遊び、笑顔が絶えない5日間でした。
 原発事故後、子どもにとってはとても制限させ我慢させたことはたくさんあります。事故当時まだ小さかった子たちはそれが普通だと思っていますが、親からすれば、山や海で体験できることを自由にさせてあげられないことにとても悔しいし悲しいです。
 保養は親も日々のストレスなどから解放され、福島に戻ったとき、「またこの子達のために頑張ろう」って切り替えができます。多くの方が福島のことを思い、考え、色々な形で支えて頂き、心から感謝しております。保養での出来事、人との出会い、つながり、ずっと子どもたちは忘れないです。(Bさん)


■震災から6年間、保養に参加させていただいた息子も高校生となり、来年は社会人です。我が家の保養はこれで卒業となります。今まで多くの方々に支えられ、成長を見守り寄り添って頂いたことに感謝しています。今後はスタッフとして参加できたらうれしいです。
(Cさん)


■保養は移住が困難で休みが長めの時に参加させていただいています。子どもがのびのびと遊んでいる姿や笑顔、何よりの心の糧となっています。福島の家族に寄り添って心配して下さって、本当に感謝しています。
(Dさん)

■初めて参加させていただきました。福島ではまだまだ子どもを思いっきり、安心して遊ばせる場所がありません。今回、息子が思いっきり走ったり、スタッフさんたちとゲームをしたり、いろいろな経験をさせていただき、息子の笑顔をたくさん見ることができ、楽しい時間を過ごすことができました。滞在中は、たくさんのスタッフの方々にサポートしていただき、今回の保養を考えるとどれだけ大変だったろうと思うと感謝しかありません。
 福島でがんばると決めた以上、親子3人で力を合わせてがんばります。
(Eさん)


■福島はあいかわらず何の変化もない生活です。復興、復興と言うけれど、何が復興だかよくわかりません。原発事故を何もなかったようにしたいのだと思います。私たちの生活も周りに流されてはいけないなと思いますが、時には迷うこともあります。しかし、保養に来ると、また気持ちがリセットされてがんばる気がおきます。保養を続けていってくれるとありがたいです。
(Fさん)

■何も気にしていない親御さんのお子さんは検査で異常がないのに、日々様々気をつけて生活している私の娘には異常が見つかったり。ショックでしばらく誰とも会いたくないほど落ち込みました。幼稚園から6年間、毎日車で送り迎えをして、娘には外遊びを禁じ、幼稚園最後の遠足にも参加させませんでした。思い出すと罪悪感に苛まれます。
 保養を拠り所として、心の支えにしている人もいると思います。保養は身体のためはもちろんですが、心のバランスをとるためにも絶対必要だと思います。
(Gさん)

■福島でも「ここが良くなった」という報告をしたいところですがいまだに何もかわっていないことが現実です。
 福島では、県外産の野菜とペットボトルの水を今も使っています。外遊びも他の子どもにくらべて制限しています。たまに「いつまで続けるんだろう」「娘に申し訳ない」という気持ちになり、涙があふれてくることがあります。そのたびに応援してくれてる方や「まちがってないよ」と言葉をかけてくれったスタッフの皆さんの顔を思い出し頑張る気力が湧いてきます。この子が大きくなるまで、親として、こんな世の中にしてしまった大人の一人として、しっかり子育てをしてご支援頂いた皆様に恩返しをしたいと思います。
(Hさん)


●たくさんの資金に支えられた2017年夏保養

 おかげ様で今年も夏休み保養プロジェクトが、勝浦市の民宿・神田にて無事に開催することが出来ました。
 当初は、資金難からはじまりましたが、開催時期が近づくにつれ、多くの方のあたたかいカンパで予定通りの4 泊5日のスケジュールで行うことができました。
 今回の参加家族は幼い子どもたちが多く、原発事故後に生まれた子どももたくさん参加しました。交流会の際には、初参加したすべての家族の方が涙目で感謝していたことが忘れられません。また、どの家族からも「保養はぜひ続けて欲しい」と切なる訴えも投げかけられました。

●一人ひとりがつながって大きな輪に

 いまの政府の原発事故被害への対応はまったく期待出来るものではありません。このなかで、福島で生きる人たちは、先の見えない状況に立たされています。今後、どのようなことになろうと、大きな人間の輪の家族として、出来ることで、知恵を出して、繋がって、皆さんの力で保養プロジェクトを続けて行きたいです。これが現実に立ち向かう「希望」になると思っています。
 今回、継続的にカンパをしていただいている方の参加をいただきました。本当に感謝です。ぜひ他の方も、保養の場に足を運んでください。短い時間で結構です。実際に、見て、話して、支援している意味を肌で感じて欲しいと思います。

●子どもたちを守りたい! 私たちの願い

 保養活動は一切が未来ある子どもたちのため。そして、その未来には人類として取り返しがつかない原発事故の状況があります。知恵をしぼり、子どもたちがどこでも生きぬけるように、希望を失わないように、けっしてあきらめないようにしていく社会をつくりたいと願っています。